日本財団 図書館


 

テムさえ片付けば解決するかもしれませんが、まずバスで嫌なところというと、この時間通りに来ないということだと思います。その後に続くものとしては、何時でも座れるとは限らないことで、荷物を持っているとなかなか辛いものがあります。利用者は自分から進んで利用しているのではなく、他に交通手段がないときに利用するという人もいると思います。例えば地下鉄がない、適切な鉄道の駅がない、目的地の行先が鉄道駅の中間にあるといった時にバスを利用するという人も多いのではないでしょうか。大量・高速輸送の鉄道系・軌道系のものとマイカー・タクシーのようなパーソナルなものの中間にあるからよいのだと、バスの利点は正しくそこにあると思いますが、それならではの欠点もあると思います。この欠点を色々工夫できるはずなのに、バスというとある形があり、そのなかで人がよろけながら立っているようなある種の固定観念が全国的に広まっていると思いますが、そういったバスイコール何か一つ固まった定型といった時代は終わるのではないかと思います。先程の明治36年がバスの誕生日、考えてみると100歳になるのか。もうすぐ「きんさん、ぎんさん」に近づく訳ですが、そのなかでそろそろ新世代というか新しいバスが生まれてもよいのではないでしょうか、それが工夫のあり方の方向だと思います。

 

●藤田コーディネーター

 

荒谷さん、先程、バスのメリットを強調をしていただきましたが、問題点の方をあげていただくとしたらいかがでしょうか。

 

●荒谷先生

 

殆どが福井さんにお話しいただいたことと重複しますが、中でも一番大きいのは定時性の問題だろうと思います。座れないこともあるというのは、都市の規模により違いがあると思いますが、通勤時に使う鉄道は座れないのが当たり前になっているということを考えれば、バスが劣っているということではないかもしれません。

 

●藤田コーディネーター

 

太田さん、バスの問題点をあげていただくとすると、いかがでしょうか。

 

●太田先生

 

私どもは海外でいろいろなバスに乗った時と比較してしまいますが、運賃の問題でかなり日本は高いと感じるます。多くの交通機関を乗り継いで行く時に一回一回運賃を支払わなければならないというのが一般的ですが、欧米に行くと共通運賃ということで一枚の切符で、しかも一日当たりの安い切符もあり、それさえ持っていれば安心して何処でもいけるという自由度というものが運賃等に関わってくる問題かと思います。判りにくさと運賃というのが、今の日本のバスの大きな問題点かと考えています。一人の利用者としてとくにそんなことを考えています。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION